牧場こぼれ話・2009

2009年7月1日 Best Luck by 飯田正剛  第7回

ダイヤモンド2008

まず、アグネスタキオンの死という悲しいニュースに触れておきたいと思います。まだ11歳という若さなので、現役時代の活躍は皆さんの記憶に新しいでしょう。そして、その活躍と同様に種牡馬となってからもあっという間に頂点に立ちました。昨年はリーディングサイアー。死因は心不全ということですが残念の一言です。残された産駒たちが父の才能を伝えるべく、がんばって欲しいと思います。千代田牧場からも、1頭、上場番号115ダイヤモンド2008がアグネスタキオンの牡馬です。牝系も超一流です。じっくりとご覧になり、どうぞ声をかけてください。ご期待に応えられる1頭です。

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「やった、プリカーサーが2勝目をマークしました」

といきなり喜んでしまいましたが、Precursorは7月14日、セレクトセール2日目に登場する“上場番号281ソフォリフィク2009”の半お兄ちゃんにあたる馬です。2勝目を挙げたのは6月21日のモンマウス競馬場第5レース。モンマウス競馬場はアメリカのニュージャージー州にある美しい競馬場です。1968年創設のレース、ハスケル招待ハンデは特に有名で1988年にはフォーティナイナー、1998年にはコロナドズクエストが優勝しています。ちなみに牝馬の優勝は1995年のセレナズソングの1頭だけ。そんな伝統ある競馬場で2勝目を挙げたプリカーサーの父はエーピーインディー(A.P.Indy)です。フロリダのセールに上場し、ダーレーに買っていただきました。1勝目は5月3日のベルモントパークでの第5レース。12馬身差の大勝でした。それまでにも、内に包まれ出られずに脚を余したりなど、惜しい競馬が続いていただけにスカッと快勝の初勝利でした。それに続く2勝目、エンジンがかかってきましたね。生産馬が勝ってくれた時の喜びは、その仔がどこの国で走っていても同じこと。これからもダーレーステーブルのために活躍してくれることを祈っています。

当歳時のフサイチセブン/ディボーステスティモニーの2006

生産馬と言えば、6月27日と28日の土日、阪神、福島、そして札幌で計6勝をマークすることができました。一昨年の記録、16週連続勝ち星と同じく、これまでに4勝というのは何回かあったけど、同一週で6勝は初めてのことで、これってひょっとして日高の牧場としての新記録ではないでしょうか。特に27日の札幌での第9レース、層雲峡特別(1000万下)に未勝利を勝ったばかりで挑戦、快勝したフサイチセブン(父フサイチペガサス、母ディボーステスティモニー)はかなりの大物です。この馬も06年のセレクトセールで高い評価をいただいた1頭です。他の勝ち上がった3歳馬たちも秋の活躍が楽しみ。アメリカでも日本でも勝つってすばらしいことですね。

ソフォリフィク2009

と、日本での話が挟まってしまいましたが、そのプリカーサーの下が今回セールに登場する男の子です。母ソフォリフィクは少々詰まった体型、そんな彼女にパワフルで、しかものびのびとした馬体のアンブライドルズソングをつけて生まれた仔が281番で登場です。日本の馬場への適性は証明済み。じっくり見ていただければ、この仔のすばらしさを納得していただけます。かなり注目を集める1頭になるはずですので、どうぞよろしくお願いいたします。

295番で登場はハローレイチェルのハンサムボーイ、父はディープインパクト。母ハローレイチェルはアメリカで3勝、G3勝ちやG2での入着などの実績を持つ女傑です。ハローレイチェル2009さらに半兄がデビューから9馬身、4馬身そして2馬身差で3連勝したシルクビッグタイム。彼はドバイ・ダービーにも選出されましたが出走を辞退しユニコーンSを走り2着。そんなシルクビッグタイムの下となれば、特に注目せざる得ない当歳の1頭であることは確かです。

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今年は初日の13日に1歳を6頭、2日目には当歳を8頭、3日目に7頭と計21頭の馬たちを上場しています。他の牧場と比較しても数は大変多いと思います。それもこれも、セールを盛り上げたい、そして日頃お忙しいオーナーの方々に、この日ばかりは一頭でも多くの馬をゆっくりと見ていただきたいと願うからです。そのために(どこの牧場もそうですが)スタッフたちは大忙し。そこで、皆様にお見せするために馬を引いている千代田のスタッフたちにも少々注目してください。それぞれの個性はあるものの、その技術は高く評価されています。技術だけではありません。そこに心がしっかりと入っています。今年もたくさんの馬たちを上場している、という誇りと、一頭一頭への愛情があふれているはずです。

Ali

たくさんのスタッフの中に、アメリカからこのセールのために来てくれている女性がいます。彼女とはキーンランドのセールで毎年顔を合わせていました。まだ大学生と若いのですが、小学生の頃からセールで馬を扱っているというキャリアの持ち主です。馬を扱う姿かたちの美しさ、技術の高さは日本人スタッフに大きな刺激となっています。今年もお手伝いに来てもらいます。しかもフロリダで育成をやっているという友だちが一緒に来るというのです。この方にも大いにお手伝いしてもらうつもりです。

そんな千代田のスタッフたちにもご注目ください。そして、気軽に声をかけて馬のことを聞いてください。もちろん、最後にお答えするのは社長である私の役目ですが。

さて、当歳馬に関してはどの仔も魅力的。一頭一頭取り上げていたら、切りがありません。どうぞ、ホームページにあります一覧をご覧になり、そしてカタログをじっくり眺め、当日は会場でもう一度、実馬たちを確かめて決めていただきたいと思います。

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スティルシャイン20087月21日のセレクションセールにも2頭の1歳馬たちを上場予定です。上場番号60番はおじにサトノバロン。上場番号97番の母トゥーラムールはセルフリスペクトの全妹と、どちらも堅実な走りが期待できる牡馬たちです。

実はサトノバロンと、6月14日のエーデルワイスSを勝って3勝目を挙げたストロングガルーダの両馬は一昨年のセレクションセールに上場し、主取りになった2頭なのです。千代田牧場はセレクトに限らず、トゥーラムール2008どのセールにも良質な馬たちを上場しています。日高の会場へも是非ぜひ、足を運んで、千代田牧場の馬たちの良さを直に確認してください。

あらためて、セレクト、セレクション、両セールへのたくさんのお客様のご来場をお待ちしています。