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2010 #08

〜頭の良さ抜群の関東若手No.1有望株・・・久保田貴士調教師〜

 ちょっと誉めすぎなタイトルで始まりです。
 
千代田牧場でバーベキューを楽しむタカ。
(左端)
タカ(私は久保田貴士調教師をこう呼んでいます)とお酒を飲むととても楽しい。毎年9月と11月は、タカと、シンガポール在住でJRAの外国人馬主である大谷正嗣さんと一緒に、アメリカ・ケンタッキーのセリに行っています。一週間の滞在中、毎晩のように食事はタカと大谷さんと一緒。たくさん飲んでたくさん話をした後に、さらにまた何人かが加わり、今度はホテルの部屋に集まっておしゃべりをします。近所のスーパーで仕入れたビールやスナックを持ち込んで、いわばおじさんたち(もちろんタカもおじさんの仲間ですよ)のアメリカ・セリ合宿。みんな日頃何かと忙しい上に、地理的にも離れているので、ゆっくり顔を合わせる機会などそうありません。ですから、互いの情報交換やら何やら、話すことが山ほどあります。話題は様々ですが、その時の主役になるのがタカ。どんな話題にもすかさず対応し、機転の利いた会話で座を盛り上げてくれます。聞き上手ではなさそうですが、確実に話し上手。思わず笑ってしまう楽しい話から、いつの間にか引き込まれてしまう興味深い話まで、頭の中にたくさんの引き出しを持っています。人の心を瞬時に掴み、厭きさせないのは頭がよい証拠。とても賢い人です。しかも、さりげないユーモアのセンスまで。こいつ、きっと女にもてるぞ、と思うのですが・・・どうなの、タカ?
 もちろん、その優秀さは仕事でも大いに発揮されています。彼の父親は久保田敏夫・元調教師。2002年に引退し、その年にタカが調教師免許を取得しました。それでは、まず彼のお父さんと千代田牧場の係わりからお話しましょう。

 私が北海道に来て間もない頃、まだやっと20代の後半でしょうか。当時、札幌ではナイターでの当歳セリが開催されていて、その頃で何千万円といった高額馬も出ていました。まだ若造だった私に、父は「高い馬が走るのは当たり前だ。安くて走る馬を見つけろ」と、勉強のため500万円の予算で馬を買うことを許してくれたのです。そこで見つけたのがニチドウアラシの仔(母マツノウイン、母父ボンモー)で、400万円で主取りだった馬を300万円で買いました。名前はフレッシュドリーム(いかにも!という名前ですね)。そしてその馬を預かってもらったのが、久保田敏夫厩舎でした。それ以前、久保田厩舎の開業時には、逆に千代田牧場に馴致・育成のために厩舎の馬を預けてくれたこともありました。そのうちの一頭が久保田厩舎の初重賞勝ち馬となったキングフローリックです。
 さて、フレッシュドリームは走ったのか走らなかったのか?彼はデビュー戦こそイマイチだったものの、その後5勝して、1億円近くも稼いでくれました(私の目もなかなかでしょ!)。

 タカ本人との最初の“ふれあい”はイギリスのニューマーケット。千代田牧場の3人娘、タレンティドガール、ブレイブウーマン、リーディングロウルをニューマーケットのチバリーパーク・スタッドに置いていた時、父と馬の様子を見に行きました。タカはその頃、クライム・ブリテン厩舎で名調教師となるべく勉強中。そのタカを誘っては、ニューマーケットのチャイニーズレストランで毎晩、よく食べて、よく飲みました。最後の晩なんて、注文した紹興酒が出てこないので、文句を言ったら、「アナタタチガゼンブノンジャッタヨ!モウナイヨ!」と反対に怒られたりして。
 タカはニューマーケットには3年程いたのではないかと思います。だから英語も達者だし、海外の調教師やジョッキーも良く知っています。ジャパンカップにブリテン厩舎のテリモンが出走した時、世話をしていたのはタカでした。主戦ジョッキーだったマイケル・ロバーツとも大の仲良し。チバリーパークにも頻繁に足を運んでくれて、千代田の牝馬たちをチェックして、定期的に報告書を送ってくれました。

コクトジュリアンのマリーンS優勝時
(左端がタカ、その隣が高橋祥泰調教師、
その隣が私です。みんな若〜い)
 1995年からタカは美浦の高橋祥泰厩舎で調教助手となり、ブレイブウーマンの仔コクトジュリアン(父マキャヴェリアン、1995年朝日杯3歳Sでフジキセキの3着)がお世話になりました。その1年後、今度はタレンティドガールの仔テリフィック(父ソヴィエトスター)が高橋祥泰厩舎からデビュー。ニューマーケットから続く縁です。

調教師となった現在も、助手だった頃と変わらず、朝の調教に乗っているタカですが、その姿が実にカッコイイ!それもそのはず。何しろ、明治大学の馬術部時代、全日本学生馬術選手権を3連覇したのです。オリンピックに行こうと思えば行けた実力の持ち主。明治大学馬術部の強さを作り上げたのは久保田貴士です。私も昔から乗馬をやっていましたが、まったくレベルが違う、センスが違う。ともかくすごいヤツなのです。今年のダービーを勝った藤原英昭調教師は同志社大学の馬術部。二人は西の藤原、東の久保田と言われるくらい、乗馬の世界でも大物でした。
さらっと乗馬で流しているだけでカッコイイ
(千代田牧場にて)
  そんなタカですが、結局、オリンピックには行かず、競馬の世界に入りました。
「オリンピックに行っても飯は食えないぞ」
という彼の父親の言葉が効いたのですね。
「馬術で馬に乗るのと、競走馬に乗るのとではまったく違う」
とニューマーケットでしみじみ漏らしたのは彼の本音でしょう。でも、競走馬での才能も、父である久保田敏夫元調教師からきちんと受け継いでいます。敏夫さんは稀代のクセ馬カブトシローを乗りこなした人。レースで乗ることはありませんでしたが、陰で大いなる技術を発揮していました。職人であり苦労人でもありました。

 タカには馬を調教する才能に加え、人の心を掴む才能があります。ある日、千代田牧場で育成していたワイルドワンダー(当時2歳)を訪ねてオーナーの草間庸文さんがやって来ました。そこに偶然、出くわしたのがタカでした。
「こちらは今年、調教師免許を取得した久保田貴士調教師です。明治の馬術部出身で3年連続全日本学生チャンピオンでした」と紹介すると、草間さんも
「え、そうなの?ボクも明治大学出身だよ。勝負服を見てよ」
確かに草間オーナーの勝負服は白と紫のボーダー。明治大学ラグビー部のユニフォームと同じです。
「そうか、じゃあ、この馬、久保田厩舎に預けるよ」
そんな経緯で、ますます千代田牧場とタカとの縁が深まりました。ワイルドワンダーは重賞を3勝。他、タカの厩舎では2007年にシリウスSを勝ったドラゴンファイヤーも千代田牧場生産です。そして、昨年の重賞勝ち馬ストロングガルーダも千代田牧場の生産馬。・・・久保田貴士厩舎の成績には、千代田牧場も深く係わっているということで、喜びと同時に責任も感じます。

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 改めて、千代田牧場から、オーナーとファンの皆様へ。

 若いのに馬を良く知っているし、見る目もある。行動力もあり、頭の回転も速く、人間的魅力も抜群。まさに久保田貴士調教師は若手の有望株。たくさんのオーナー、そしてファンの皆様に、絶大なるご支持と応援をお願いしたいと思います。

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  え、誉め殺しの上に、余計なお世話だって? そんなこと言わないで欲しいな〜。姉しかいない私にとって、タカは弟みたいなものですから。これからも千代田牧場は全力で応援しますし、その代わりお世話にもなりますので、よろしく!


シャツにサングラスを差しちゃったりして、
右の人に負けないくらい絵になるタカ。
これからもよろしくお願い致します。
(千代田牧場にて)

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