ホーム>こぼれ話 >Best Luck by 飯田正剛

2011 #2

〜ダイワバーバリアンも春には復帰予定です・・・大城敬三オーナー〜

 
ダイワジャンヌ (牝6)
ここまで5勝2着7回3着3回。
この先も重賞戦線での活躍に期待です。
第1回中山競馬の最終日、1月23日のメインレースは第52回アメリカンジョッキークラブカップ(GU)。出走馬11頭中、唯一の牝馬が大城敬三オーナー、千代田牧場生産のダイワジャンヌでした。前走の金杯が勝馬から0.2秒差の6着だったので、ひょっとして、という希望を胸に競馬場へ。 「いいぞ、いいぞ!そら来い、よし、がんばれ!掲示板に来い!」 という必死の応援が届いたのか、見事5着に食い込みました。ゴール前、前の馬をハナ差交わしての掲示板。すごく嬉しかった!もちろん当場生産馬だからですが、何より大城オーナーが喜んで下さると思うと、嬉しさもひとしおでした。  応援といえば、私も我を忘れるほどに興奮して大声を張り上げてしまいますが、大城オーナーの応援ぶりはそれ以上です。80歳を過ぎていらっしゃるとはとても思えない迫力!昨年、ダイワバーバリアンがNHKマイルカップに出走した時は、オーナーの迫力に負けて、私でさえ少々おとなしくなってしまったほどです。結果は2着でしたが、次は何とかオーナーの応援に応えてビッグなプレゼントを、と思っています。

 ダイワバーバリアンの母は「不死鳥」フェニックスバード。アメリカのセリで購入したトロフィーポイントという牝馬にキングマンボを種付けし、日本で生まれました。もう10年以上前になります。当時はまだそれほど評価の高くなかったキングマンボでしたが、彼に惚れ込んでいた私は、同じ年、日本から持っていったブレイブウーマンにもキングマンボを付けました。種付株も所有したかったのですが、満口のため購入は叶わず。

 
ダイワバーバリアン (牡4)
右が大城オーナー
左は矢作芳人調教師と矢作和人調教師
母となったフェニックスバードは、2頭のオープン馬を出しました。ダイワバーバリアンと、その半兄で2009年のGVラジオNIKKEI賞を勝ったストロングガルーダ(父ダンスインザダーク)です。2008年には牝馬を出産しましたが、その後まもなく、放牧地で他の馬に蹴られて骨折を負い、亡くなってしまいました。(最後の仔となった現3歳の女の子は、ラストメッセージと名付けられています)

 フェニックスバードが残した仔は牡馬3頭と牝馬1頭。初仔も大城オーナーに買って頂きました。父マリエンバードの牡馬ダイワアンリです。2戦目で勝ちあがったもののその後伸び悩み、南関東へ転厩しました。2番目が前述のストロングガルーダ、そして3番目が父マンハッタンカフェの牡馬ダイワバーバリアンです。デビュー3戦目を阪神で勝ち、続く4戦目のGUデイリー杯2歳Sは4着。東京で500万の平場を勝つと、その後は重賞を5戦してGT3着、GV5着、GU4着、2着、GT2着。ここまで10戦、掲示板を外したことはありません。すごいことです。でも、やはり勝たなければ!大城オーナーにはこの馬でどうしても大きなレースに勝って欲しいのです。NHKマイルで脚を痛め、長い休養に入りましたが、5月か6月にはレースに復帰できる見込みです。今度こそ、掲示板の一番上で、力強く輝いて欲しいものです。


 大城オーナーとは、お付き合いさせて頂いてもう30年になります。始まりはダイワバーバリアンを管理する矢作芳人調教師のお父さん、南関東・大井競馬の矢作和人調教師でした。大城オーナーが初めて馬を持たれたのが南関東で、千代田牧場は矢作和人師とは昔からのお付き合い、そんな縁でした。父の代から仲良くして下さり、父が他界した時には千葉の家に奥様とお二人で来て下さいました。母のことも「お母さん元気かい?」といつも気にかけて下さいます。また、馬の購入に際しては、「お前のことを信用しているから」と、実馬を見ずに決めて下さいます。本当にそのお気持ちには感謝してもしきれないほどで、この恩を馬でお返ししたい。だからオーナーには大レースで勝ってもらいたい。その責任が私にはあると思っています。

 
ダイワテキサスの引退式。鞍上は牧原由貴子騎手
(サンケイスポーツ提供)
 さてもうひとつ、千代田牧場と大城オーナーを語る上で忘れてはいけないのが、1995年にデビューし、2001年の有馬記念を最後に53戦11勝という成績で引退したダイワテキサスです。父トロメオ、母ローブデコルテ。母馬の預託先の牧場で生まれましたが、当歳の頃から千代田牧場で育成されました。有馬記念3着、ジャパンカップ5着、天皇賞・秋5着と、GTでも立派な成績を残したダイワテキサスですから、引退式も行われました。その引退式でダイワテキサスに騎乗したのは、同馬の調教にも携わり、デビュー当時のレースにも騎乗した牧原(現増沢)由貴子騎手です。実に大城オーナーらしい、粋で優しい計らいではないでしょうか。ダイワテキサスの優勝のレイは、今でもたくさんのレイの真ん中に置かれ、大城オーナーの部屋に飾られているそうです。

 ダイワテキサスと同時期に活躍したのがダイワカーリアンとダイワルージュです。2000年には、ダイワテキサスが新潟記念-GV、関屋記念-GV、中山記念-GUを、ダイワカーリアンが札幌記念-GU、富士S-GV、東京新聞杯-GVを、ダイワルージュが新潟3歳S-GVを勝ち、この3頭で重賞を7つも獲りました。

 そのときに大城オーナーが開いて下さったパーティーのことも忘れられません。招待されたのは3頭それぞれの調教師ご夫妻と牧場代表者。そこに大城オーナーの4人のご子息と奥様方。千代田牧場からは私の両親と私が出席しました。規模でいえばこじんまりとしたものでしたが、その馬に直接携った人だけで本当に喜びを分かち合い、感謝を伝えたいという大城オーナーの優しさが胸に沁みる温かい素敵なパーティーでした。その席に「遅くなりました、お邪魔しまーす」と言いながら顔をのぞかせたのが、なんとミスタージャイアンツ・長嶋茂雄さん。日本シリーズの真っ最中にもかかわらずです。大城オーナーの人脈と、人徳のなせる技に改めて感服しました。

 87歳になっても大きな声で愛馬を応援し、「馬は生きがい」とおっしゃる大城オーナーに、今年はダイワバーバリアンで、ますますお元気になって頂きたいと思っています。

牧場案内 |  今週のレース |  現役馬近況 |  産駒一覧 |  写真館 |  こぼれ話 |  馬名募集 |  ホームに戻る
Copyright (C) Chiyoda Farm Rtd. All Right Reserved. 千代田牧場