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2011 #4

〜Star My Life そんな1頭に出会いたい・・・トレンドハンターと私〜

東北関東大震災で被災されました皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

 震災の影響により、競馬も中山と福島の開催が見送られるなど、先の見えない状況が続いています。そんな中、生産馬トレンドハンターが3月26日のフラワーカップ(G3)を優勝し、桜花賞への切符を手にしました。すでにホエールキャプチャがクイーンカップ(G3)を勝ち、桜花賞へ名乗りを挙げています。これで千代田牧場からは2頭が牝馬クラシック第一弾に出走することになりました。08年にも3頭が出走しましたが*、今年は重賞勝馬2頭の競演。この上なく幸せなことです。
* エイムアットビップ、ルルパンブルー、ベストオブミーの3頭。エイムとルルパンには今年初仔が生まれます。


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 それでは、トレンドハンターの祖母スターマイライフのことからお話しましょう。1994年生まれの彼女に出会ったのは、米国キーンランドのジュライセールでした。半姉にLady’s Secret(父Secretariat、92年に競馬の殿堂入り、年度代表馬、GI11勝)、父はStorm Cat、当時大人気の種牡馬です。是が非でも手に入れたい一頭でした。ただ、種子骨炎とStarm Cat産駒らしい咽喉に気になる点もあって、ミリオン手前の値段で手に入れることができました。
 美浦の古賀史生厩舎からデビュー。6戦して1勝2着2回4着2回。最後は6着で引退。繁殖となりましたが、初仔ホシノキンカ(父ラムタラ)は1勝。第2仔ロイヤルペルラ(父ブライアンズタイム)が不出走。その下もディスイズザライフ(父アグネスタキオン)1勝、プレシャスライフ(父タイキシャトル)公営5勝と牝ばかりが続き、なかなか期待通りにいきませんでした。

 彼女の2番仔ロイヤルペルラが、4番目に産んだ仔がトレンドハンターです。その上は初仔がムーンシンフォニー(父アグネスデジタル、新馬4着、現繁殖)、2番目は屈腱炎さえなければ能力的にはダービー出走を期待していたフサイチナガラガワ(父ネオユニヴァース、2勝、現役)、3番目が新馬勝、2勝目ともダートで圧勝したスティールパス(父ネオユニヴァース、現役)。トレンドハンターの父にマンハッタンカフェを選んだのは、少し大きめの子が欲しかったからです。狙い通り、2歳夏には馬体重が500kgを超える程に成長しましたが、そのせいで蹄に問題が出たり、繋ぎが硬かったりと、デビューまでは苦労がたくさんありました。

当歳11月1歳10月

 松田博資厩舎に入厩。デビュー直前の追い切り後の師の電話は
「レーヴディソールと互角に動く。これはすごいわ。びっくりした!」
蹄の問題があったので、2勝するまではダートを使って欲しいと希望しました。とりあえず2勝して、クラシックに手が届きそうなところまで進んでおきたかったからです。デビューは12月5日。岩田騎手が香港での騎乗があったため、予定より1週早めました。結果は出遅れて2着。その後は順調に2連勝し、当初4戦目はクイーンカップを予定していました。しかし飛節を6針縫う外傷のため使えず。それなら次はフラワーカップ・・・ということになるのですが、過去2年、フラワーカップでは痛い思いをしているのです。一昨年のマジックシアター(現繁殖)は3着。そして昨年のベストクルーズ。ファンタジーS(G3)2着、阪神ジュベナイルF(G1)3着と、桜花賞に挑戦する能力はあったと思うのですがここで4着。クラシックへの切符は手に入りませんでした。ですからトレンドハンターには、中山に遠征して中2週で本番を迎えるフラワーカップはできれば避けて欲しかったのです。

   そこへ襲った大震災。競馬開催も変更を余儀なくされ、フラワーカップは日程を変えて阪神に振替わりました。桜花賞へは中1週になりますが、阪神なら遠征はありません。そうして奇しくももたらされたチャンスを彼女は見事にものにしました。岩田騎手も「芝のほうが良い」という嬉しいコメントをくれました。

 トレンドハンター、先にクイーンカップを勝ったホエールキャプチャはともに、私が期待をかけた繁殖牝馬の孫の世代にあたります。どちらも遡れば確かな名牝系です。だけどなかなか活躍馬が出ませんでした。繁殖牝馬として牧場に残すか外に出すか、そんな葛藤に悩まされもしましたが、今、花開きつつあるスターマイライフの血統。トレンドハンターの母ロイヤルペルラはもちろん、ランブリングローズ(現4歳、2勝2着5回)を産んだホシノキンカ、そして今年初仔がデビューするディスイズザライフとプレシャスライフも、先がとても楽しみになりました。

 上記2頭の重賞勝馬を含め、16頭が勝ち上がっている現3歳世代ですが、実は当歳春先に脚元の不安が続出した世代でした。日々さまざまな原因を探りながら、試行錯誤を繰り返しました。討論から衝突が起きたこともあります。道を開いたのはスタッフと装蹄師、獣医師のチームワークでした。この世代の活躍をチーム千代田は誇りに思います。

いつか震災から立ち直り、また皆様が心から競馬を楽しみ、元気になって頂けるように、牝系を繋げて、いい馬を育てていくこと。それがチーム千代田の私たちにできることだと思っています。
被災された方々が、1日も早く平和な日常を取り戻せますよう、心からお祈り申し上げます。


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*3月30日、レーヴディソール骨折のニュースが駆け巡りました。関係者の方々の心中お察しします。私はビクトリアクラウンのことを思い出しました。4連勝でクイーンCを勝ち、最有力候補として単枠指定で臨むはずの桜花賞。彼女が調教中に骨折したのは本番10日前の4月1日のことで、知らせを受けた私は思わず「エイプリルフールだろう!?」と叫びました。桜花賞まであと1週。どうか皆無事にと願うばかりです。

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