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2012 #4〜じっくり育てた夢・・・ドリームカムカム〜通算成績37戦8勝2着8回3着4回という成績を残したドリームカムカム。重賞こそシルクロードS(GV)の5着が最高でしたが、OP特別を3勝。2歳の11月にデビューしてから明け7歳の3月まで、千代田牧場の夢を背に頑張ってくれました。 母ドリーミングガールは1989年アイルランド生まれ。翌年のニューマーケットの1歳セリで目にとまった馬です。下見をした際にトモに傷があり、馬房から飛び出すところを見てしまったので、きっと狭いところが嫌いで傷を作ったのだろうと、気になりながらも競りはしませんでした。ところが、彼女が別の購買者に落札されると諦め切れない。父Lomondは私の好きな種馬でもあり、何と言っても一番の魅力は仏オークスとサンクルー大賞典の勝馬である母デュネット(後に林進オーナーにより日本へ輸入されます)。結局は売れてしまった彼女を追いかけて、譲ってもらうことにしました。今から22年前、私がまだ33歳の若造の頃です。その直後、彼女の半兄フレンチグローリーがロスマンズインターナショナル(GI)に優勝。これはと思ったときは「即行動」、今でも変わらない私の信条のひとつです。 こうして日本にやってきたドリーミングガールは美浦・国枝栄厩舎に所属。1992年の5月の新潟でデビューを迎えると、セリ場で目にした通り、狭いゲートからどの馬よりも早く飛び出すも、最後は2着。膝を骨折したため、1戦のみで繁殖に上がりました。そして5番目に生まれたのがドリームカムカムです。 馬名の由来は「夢よ来い来い」。2000年11月、東京の芝1400mでデビューしたドリームカムカムの鞍上は、先日引退した小林淳一騎手でした。3着と健闘しましたが、その後も惜しい競馬が続き、初勝利は6戦目になります。7戦目に挑戦したのがGVフラワーカップ。雨の芝1800mで10着に負けました。芝1200mで2勝目を挙げ、3勝目は新潟の豊栄特別(芝1600m)。2着は父飯田正の馬で、NHKマイルC(GI)3着のサマーキャンドルでした。3歳時の最終戦、現調教師の角田晃一騎手の騎乗で臨んだのが、秋華賞で12着。今思うと、3・4歳時は距離適性が分からず、芝2000mのGIや1800m戦に出走するなど、馬に負担をかけていたかもしれません。カムカムの本領が発揮されたのは短距離戦に狙いを定めた5歳暮れからのことでした。
その後、6歳10月の福島民友カップでOP特別3勝目。明け7歳のシルクロードS(GV)で重賞入着。GI高松宮記念を目標に挑んだオーシャンS(OP)でクビ差の2着に惜敗。脚元の不安もあり、もしものことを考えて、ここで引退することにしました。 カムカムは常に右前球節に爆弾を抱えながらの競走生活でした。2,3戦しては牧場に帰ってくる。そんな彼女をスタッフたちはじっくり手をかけて次のレースに送り出しました。彼女にリラックスしてもらうための全身マッサージ。パッド型の電気マッサージ器で行き届かない部分はハンディ型を使いました。気持ち良さそうなカムカムとは裏腹に、人間は腱鞘炎一歩手前状態です。ですが、これがきっとカムカムには合っていたのでしょう。リフレッシュした彼女は、競馬場に戻るとまた全力で走ってくれました。国枝厩舎と牧場の連携プレーがとてもうまくいったことが、カムカムの長く充実した競走生活の大きな要因でした。 先月18日、カムカムの3番仔ヒラボクインパクト(父ディープインパクト)が4か月ぶりに出走しました。結果は5着に終わりましたが、北村騎手のコメントには一安心。 「以前と違い、落ち着いて走れるようになった」。 真面目過ぎるのか気持ちばかりが先行し、自分で自分を疲れさせる。そんなところがあったインパクトですが心身ともに成長しているようです。4番仔ダノンエレガント(父ブライアンズタイム)、こちらも母譲りか短距離戦で勝機を窺っています。 2歳と1歳は父ディープインパクトの牝馬と牡馬です。今年はアドマイヤムーンを種付けしました。 ドリームカムカムが活躍していた頃、とあるオーナーがカムカムになぞらえて名付けた馬がいます。その名も「ドリームチルチル」。こちらも今は当場で繁殖となっています。実現することもあるけれど、大方は散ってしまうのが夢。ですが、オーナーをはじめ、たくさんの人と夢を共有できることが競馬の素晴らしいところです。 皆様の夢の実現のお手伝いができるよう、カムカムにもいい仔を産み続けて欲しいと思います。 |
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