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2012 #11

最速100勝おめでとう・・・やったぜ!尚介

 10月21日京都競馬第11レース菊花賞、一番人気で優勝したのは須貝尚介厩舎のゴールドシップ。二冠馬誕生の瞬間は、須貝厩舎の100勝達成の瞬間でもありました。開業から3年7ヶ月と21日。それまでの記録、矢作芳人調教師の3年8ヶ月と16日を更新するJRA史上最速の大記録でした。

 皆さん、覚えていますか?尚介には、2010年11月のこのコラムに私の“弟分”として登場してもらいました。ちょうど2年前です。尚介を紹介されたときの印象を「そんなに乗れるジョッキーじゃない」とか「ほとんど眼中になかった」とか書いています。馬を預けるようになってからは、千代田牧場に来ては食べて飲んで、スタッフの前で話をしてもらったり、噂のグラスリラクゼーション(厩舎の鼻前に芝生を植えて馬をリラックスさせるという須貝厩舎独自の活用法)について突っ込んだり。和気あいあいのお付き合いは今も変わりません。一緒にいて楽しい人間であることはもちろん、仕事に関しても実行力抜群なので、もたもたすることが嫌いな私には最高に気の合う仕事相手です。

 さて、今度は尚介君、覚えていますか?2年前のコラムが“これからも弟分としてよろしく”と結んであることを・・・。 千代田の4歳世代は4頭が須貝厩舎に入りました。そのうちの1頭クリーンエコロジーは尚介の新馬勝ち第一号であり、新潟2歳Sの1番人気は尚介の重賞初挑戦でした。
それが今年の6月、「尚介、うちの2歳、1頭頼むぞ!」と言ったら、すかさず
「えっ、それ男だよね?」
 自家用は牝馬が基本でしょ!4頭預かってもらったのはつい2年前のことなのに、それってちょっと悲しいなあ・・・。

 「うち、特別な馬しか入らないけど・・・」
なんて今では言っていますが、須貝厩舎の本賞金トップ5を見ると、第1位のゴールドシップ(父ステイゴールド)は別としても、その後に続く馬の父はスターリングローズにアドマイヤボス。先日OP入りを果たした馬の父もカリズマティックと、決して種牡馬リーディング上位の父を持つ馬たちではありません。それでこの成績を挙げている尚介は素直にすごいと思います。

 昨年の尚介は、小倉2歳S(マコトリヴァーサル)、新潟2歳S(ジャスタウェイ)、札幌2歳S(ゴールドシップ)と2歳重賞に出走した3頭がいずれも2着でした。さぞ悔しかったことと思いますが、来年は絶対クラシックだと十分に今年の活躍を予感させてくれました。
 ゴールドシップの皐月賞優勝の翌日、約束通り千代田牧場を訪れてくれた尚介。ですが、前の晩に千歳で飲み(飲まされ)過ぎたようで、食べることもままならず、主役なのに体調不良で早々とベッドルームへ退散・・・。食べることも飲むことも大好き、頭も切れて、明るく人に感謝を忘れない男。個性が強いけれど嫌味がなく、可愛がられるタイプですね。

 天皇賞(秋)当日も東京競馬場でたくさんの方から「おめでとう」と声をかけられていました。そのたびに、
「社長のおかげです」「いやあ、会長のおかげです」
と深々と頭を下げ、満面の笑みで感謝の気持ちを伝えていました。

 直接聞いたわけではありませんが、尚介はこんなことを言っていたそうです。
「海のものとも山のものとも分からないうちから良い馬を預けてくれた千代田の社長には心から感謝しています。これからもよろしくお願いします」
嬉しいことを言ってくれますね。それは、牝馬でも預かってくれるってことかな?

*     *     *     *     *

 これまでにこのコラムで書かせて頂いた方々は藤沢和雄調教師をはじめ、ほとんどがGTトレーナーです。その中で登場した“弟分”では今年、矢作芳人がダービートレーナーになりました。コラム掲載当事、唯一重賞未勝利だった開業2年目の尚介も二冠トレーナーに。私にも人を見る目があったかなとちょっと自慢です。大きくなっていく弟分たちを見るのは嬉しい反面、少々距離感も感じています。それを払拭するためにも、必ず当場からクラシック馬を出すぞ!  我々、千代田のスタッフも彼らに負けないよう頑張ります。

 
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