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2013 #11

再びレキシントンへ

 紅葉の季節、11月は米国でファシグティプトンとキーンランドの2つの大きな繁殖セールが行われます。

 毎年セリ場を訪れる日本人は高額馬バイヤーの有力候補です。GI馬ともなれば、軽くミリオンを超えていきますが、より多くの声が掛かるように販売者側も考えます。そのアピールの仕方がなんともユニークで、レースのDVDなんて序の口。あの手この手で、お祭りを楽しんでいるようです。


More Chocolateという牝馬のPRのために送られてきたチョコレート。
残念ながら、届いた時点で欠場が発表されていました。

 先月はファシグティプトンのマーケティングディレクターTerence Collier氏がわざわざ静内の牧場を訪ねてくれました。とても気さくな彼は、昨年のセリでとんでもないサプライズをしてくれました。
 ファシグティプトンのセリは夕方4時から始まります。パレードリンクでセリの動向を見つつ、6時半をまわってからようやくお目当ての馬とともに会場に入ると、スピーカーから響く
「Good Evening!Dr. Iida!」
の声。見ると鑑定台の上から彼が「遅かったな。待ってたぞ!」とでも言いたげな笑顔で手を振っていました。会場内の人たちも一斉にこちらを振り返るわけで、びっくりしました。もちろんこんなことはめったにないそうなので、嬉しかったですね。


牧場にて
日本語覚え始めで、「ほんと?」と「うそ!」の違い、
「うまい」と「まいう」はどう違うのか?が気になっていたそうです。

  今年の米国セリは、売上総額や平均価格、落札最高額などの記録を更新しており、全体的に勢いづいています。日本と米国の市場の違う点は、米国では馬を買う人の目的に投資的な意味合いが強いことで、購入した当歳馬や1歳馬を次の1歳セリやトレーニングセールで高く売るピンフックがよく行われます。そのため、春先の2歳トレーニングセールが活況なら、夏以降に行われる1歳セリでの購買意欲も刺激され、それが当歳や繁殖のセリにも波及していきます。

 特に繁殖市場では、産駒が活躍したり、自身が活躍していたり、きょうだいから走る馬が出たりすると、売り時を見計らってすぐに市場に出てきます。

 これまで11月の繁殖セールで手に入れた馬では、英愛1000ギニーで活躍したToroca(サトプリンシパルの母)、名血Balladeを母に持つAngelic Songの初仔ディボーステスティモニー(フサイチセブンの母)などなど。バーディバーディの母ホームスイートホームは、全姉の産駒Point of Entryが6つ目のGI優勝を懸けて、2日に行われるブリーダーズカップターフに出走します。
それからアラバマS-G1の勝馬レディジョアン。プリークネスSを含め3つのG1を勝った弟Shaklefordに続き、母の産駒4頭目の重賞勝馬となった妹Afleeting Ladyがファシグティプトンに上場してきました。昨年は同セリに登録しながら欠場だったので、見るのが楽しみです。

 さあ、今年も張り切って良いお母さんを探してこようと思います。来月のコラムでは素敵な報告ができますように。


photo by Masatake Iida
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