ホーム>こぼれ話 >Best Luck by 飯田正剛

2014 #9

受け継がれるスピード〜ラグナセカとその子供たち

 先々週の札幌記念は素晴らしいレースでした。グランドオープンしたスタンドに、凱旋門賞に挑むスターホースたちの参戦。お天気もよく、プレゼンターにTOKIOのお二人とくれば、たくさんのお客さんが入るのも納得。スタンドから人がこぼれんばかりの混雑ぶりでした。
 終わってみれば上位3頭はGT勝馬、そのうちの1頭がホエールキャプチャです。もう6歳ですから、無事ゴールしてくれることを願うだけでした。ジョッキーもとにかく無事にまわってくることを念頭に置いていたそうですが、やはり2歳からずっとGT戦線を走り続けてきた馬、4コーナーで馬にスイッチが入りました。立派な3着だったと思います。

 札幌記念前日の23日、新潟の芝1400m新馬戦で、ダノングラシアス(牝 父マンハッタンカフェ)が見事、新馬勝を収めました。牝馬とは思えない498kgの雄大な馬体、パドックでの雰囲気も良く、まだ余裕のある勝利でした。
 母サーキットレディは新馬戦(ダ1200m)で2着に1秒差をつけたスピードの持ち主で、その後も芝の特別を2勝しました。現4歳の初仔サトノアビリティ(牡 父ダイワメジャー)も新馬勝を挙げており、ダノングラシアスは第2仔です。

 この血統との出会いは1996年、本馬の祖母のラグナセカ(父Seattle Slew)が上場した米国キーンランドの繁殖セリでした。当時ラグナセカは4歳。初仔となるMr. Prospectorを受胎していました。積極的に手を挙げましたが、母がクラシック戦線で活躍したGT入着馬、自身も重賞入着とあって、競り負け他の人の手に。縁がなかったとあきらめたその3年後、同じセリで目を惹いた1頭の馬・・・「いい顔をした馬だな。あれ、この馬見たことある!」。今度こそはと頑張って85万ドルで落札、縁ですね。

 そのときお腹に入っていた仔がDeputy Ministerの牝馬ロジカルクィーンです。日本で1勝してすぐ繁殖に上がり、新馬勝を含め3勝を挙げたサトノハピネス(父アグネスタキオン)を出しました。

 次の仔は種付けにアイルランドまで遠征しました。"Iron Horse"と呼ばれたGiant’s Causewayの初年度でした。そうして生まれたのがモアザンベスト。日本でキーンランドCなど4勝を挙げました。繁殖に上がってからはディープインパクト一筋。黄金配合といってもいい程、どの仔も素晴らしい出来です。現在4勝を挙げるタイセイドリーム(牡4)は母とは違う長距離で開花しました。セレクトセール当歳で7350万円をつけて頂いた2歳の全妹デビュタントは、同厩舎、同オーナーということから「女キズナ」の呼び声高く、デビューが楽しみです。

 その次の年がGrand Slamの牝馬で、先週新馬勝を挙げたダノングラシアスの母サーキットレディ。

 再びGiant’s Causewayをつけて生まれた牝馬Joffe’s Runは米国の1歳セリに上場しました。50万ドルの値がつき、英米で4勝、2つのステークスを勝ちました。
 その後、Smarty Jonesをお腹に入れて、日本で生まれたのがピサノプレミアム。坂口正大調教師の引退の日を勝利で飾ってくれた馬です。

 この9月もまた米国の1歳セリに行きますが、こだわって手に入れた繁殖の仔や孫たちが走ってくれることは生産者として無上の喜びです。サーキットレディもモアザンベストもまだこれからの繁殖牝馬。ラグナセカの血統がこの先大きく発展してくれることを願っています。

 北海道はもうすっかり秋の気配です。どうぞ皆様、お体に気をつけてお過ごしください。


*     *     *     *     *

 米国から初勝利のニュース!
 米国で所有している繁殖牝馬の1頭ミリオンギフト(父サンデーサイレンス 母Maplejinski)の産駒が、サラトガ競馬場で初勝利を挙げました。A.P. Indyのラストクロップとなる牝馬で、一昨年のキーンランド・セプテンバーセールでは72万ドルがつきました。昨年10月のベルモント競馬場でのデビュー以来7戦、ベルモント、ガルフストリームパーク、とメジャーな競馬場で着を繰り返し(日本的に言えば)、8戦目に夏のサラトガで勝ち上がりました。名前はIndy’s Million.  A. P. Indyのラストクロップです。父名と母名の合体で分かりやすいですね。

牧場案内 |  今週のレース |  現役馬近況 |  産駒一覧 |  写真館 |  こぼれ話 |  馬名募集 |  ホームに戻る
Copyright (C) Chiyoda Farm Rtd. All Right Reserved. 千代田牧場