牧場こぼれ話・2002



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11月8日  ピースオブワールド3連勝
11/3のファンタジーステークス(G3)、ピースオブワールドが単勝1.4倍の人気に応え、デビューから1ヶ月足らずで、無傷の3連勝、そして暮れのGIへ向けての嬉しい初重賞制覇となりました。

ピースオブワールドの母ビバムールは、タイキシャトルの母ウェルシュマフィンの全妹で、とても期待している繁殖牝馬です。昨年も今年もサンデーサイレンスの全妹を出産していますが、今年生まれた妹は残念ながら、生まれつき左の眼球がありませんでした。それでも、他の馬たちと同じように元気一杯に成長しております。片目の馬は日本では競馬が出来ませんので、海外で走らせてあげたいと思っています。

昨年デビューした姉のマイルドスマイルも、調教の動きが良く、牧場内のPOGでダントツ1番人気に押されたのですが、残念ながら未勝利に終わってしまった為、2番仔のピースオブワールドの指名者はガクンと減ってしまいました。それでも信じて指名した数名のスタッフは、幸先良いスタートダッシュで笑いが止まらないようです。

馬名がいろいろと話題になっているようですが、もともとはこのHPの馬名募集で応募頂いていた「ピースオブドリーム」で申請して通らなかった為、思いついた名前です。昨年、社長がセリのため渡米中に同時多発テロが起こった経験と、預かって下さる坂口師のお人柄に相応しい馬名ということでこの名前に決まりました。
馬自身もこの馬名にぴったりでサンデーサイレンスの牝馬なのに、とてもおっとりした素直な馬です。育成時代ものんびりしすぎていて本当に心配だったくらい...。ですが人には従順な彼女も放牧地ではボスだったようです。(馬体も1番立派でしたから・・・)
最初は少し大袈裟な気もしましたが、早くも名前に負けないレース振りを見せてくれました。先々国際レースで「世界平和」をアピールしてくれたら素晴らしいですね。

さあ、いよいよ今週は当牧場にも縁の深いエリザベス女王杯です。オークス馬、スマイルトゥモローは、休養しているうちにすっかり秋華賞馬に話題をさらわれてしまいましたが、厩舎で順調に調整され、彼女なりに良い状態で秋の大一番へ臨めそうです。パートナーの吉田豊Jの負傷が大変心配でしたが、スマイルの為にジョッキーも頑張ってくれることでしょう。人馬一体で秋の京都競馬場を気持ちよく走って来てくれればと応援しています。

このようにGI戦線に話題になる馬を送り出すことが出来、牧場でも大変盛り上がっています。
ワクワクドキドキのレースがしばらく続きそうです。


7月11日  2002セレクトセール
7/8.9ノーザンホースパークにて恒例のセレクトセールが行われ、今年は生産馬を3頭上場しました。
今年から、ダーレー賞:The BestTurned Out Awardという賞が設けられ、もっとも美しく仕上げられた(手入れされた)馬に対して贈られるということをセリの4日前にFAXで知りました。
が、当日は、あわただしく準備に追われて賞のことなど意識する余裕もないまま、比較展示の時間になりました。
たくさんのお客様に見て頂き、無事に展示を終え、昼食を取って一息入れていると「千代田さーん!」と声をかけられ、「1番の馬の前に出ますので準備してください。」とのこと。「順番が変わったのかな?」などと不思議に思っていると「ダーレー賞ですよ!」と言われてビックリ!フラワーアーチ2002が1日目上場の148頭の中で最優秀馬に選ばれたのでした。
セリに上場される馬たちですから、どの馬もきれいに仕上げられ、みんなピカピカに見えました。その中で最優秀馬に選ばれるということは生産者として本当に名誉なことで、これほど嬉しいことはありません。スタッフ一同、この賞を頂けた事を誇りに思い、今後ともこれを励みにますます頑張っていきたいと思います。

フラワーアーチ2002


7月1日 桜花賞・オークス・ダービー優勝合同祝賀会
静内町軽種馬生産振興会主催のG1競走合同祝賀会が6月24日行われました。
桜花賞優勝のアローキャリー(矢野牧場生産)、オークス優勝のスマイルトゥモロー(千代田牧場生産)、そしてダービー優勝のタニノギムレット(カントリー牧場生産)というクラシック3レースの合同祝賀会とあって、500人近い方に御出席頂き、盛大に行われました。またこれに合わせて勢司調教師、吉田豊Jもお忙しい中、駆けつけて下さいました。
オークスのウィニングランでは、スタンドに向かって何度もお辞儀をしていたのが印象的だった吉田Jですが、本当に礼儀正しい好青年です。彼は競馬学校の研修以来の日高入りだそうで、この日は1ヶ月ぶりにスマイルトゥモローにも再会し、スマイルも嬉しそうでした。(スマイル以上に私を含め牧場の女の子達が1番喜んでいたのではないでしょうか。う〜んあの笑顔がステキですね。)
桜花賞は負けてしまいましたが、レース直後、吉田Jから「メジロドーベル級ですよ」とお褒めの言葉を頂いていたのが、本当にドーベルと同じオークスに優勝出来るなんて・・・・。なんとも光栄な話です。本当にドーベル級だったら夢が更に膨らみますね。牧場に帰ってからリラックスして、馬も成長していますので、これからが益々楽しみです。秋も彼女のベストパートナーとしてよろしくお願いします!
祝賀会の後の二次会は、牧場のゲストルームでごく内輪で行いました。その楽しい内容はまたの機会に・・・・。

スーツ姿のジョッキーにスマイルもうっとり??

育成スタッフと一緒にGOOD LUCK!!


6月19日 千代田牧場POG
いよいよ新馬戦も始まりました。
今年も恒例の千代田牧場POGの投票が行われました。(ルール等はこちらを参考にしてください。)

99産駒前半戦は、例年にないハイレベルな争いとなり、大変盛り上がりました。ポイント制で行われるのですが、最高得点は23ポイント。最低点の人でも1ポイントは獲得しているのですから、どれだけこの世代が活躍しているかを実感します。
中には4頭全てが勝ちあがったという人もいました。
今回は特別に上位5名に入れなくても、10ポイント以上の獲得者に金一封が手渡されました。

実はオークス馬スマイルトゥモローの投票者はわずか2人だけ。
一票も入っていなかった馬が新馬勝していたり、上位人気だった馬が未勝利だったりして、本当に競馬は難しいです...。
当牧場のPOGには後半戦もありますから、前半不振でも後半の巻き返しに期待といったところでしょうか。

2000産駒は牡馬38頭、牝馬18頭と牡馬が多かったので、牡馬2頭、牝馬1頭、牡牝自由で1頭というルールになりました。
牝馬の千代田とよく言われるようですが、4頭目は牝馬よりも牡馬を選んだ人のほうが多かったようです。
人気を集めたのは牡馬はライトウインズ2000(マヤノグレイシー半弟)、ワイプザアイ2000(サマーキャンドル、ストロングブラッド半弟)が共に13票、牝馬はシジェームサン2000(セレブ、ボールドブライアン半妹)が12票、リトルキッス2000(スルーオグリーン、ブライアンズホーク半妹)が7票。
《投票人数48人中》
兄弟姉妹が活躍しているだけに、期待も大きいようです。

2000産駒も、まずは無事にデビューし、99産駒に負けない活躍をして欲しいですね。


6月13日 お帰りなさい!スマイルトゥモロー
昨年8月29日、「けがをしないでね。頑張って来るんだよ」といって美浦の勢司厩舎へ送り出したコクトビューティー99が、6月2日に北海道へオークス馬スマイルトゥモローとして帰ってきました。「よくがんばったね。ありがとう!」みんなそんな気持ちで迎えました。

夢のような5月19日のオークスデーから、あっという間の一ヶ月、ようやく落ち着きを取り戻しつつあります。皆様からたくさんのお祝いや心温まるメッセージを頂戴し、本当にありがとうございました。余りの忙しさに、更新が遅れ、またお祝いのメールを頂いた方にはお返事も出来なくて申し訳ありませんでした。

スマイルトゥモローがオークスに勝った時の感動と興奮はきっと一生忘れることが出来ません。
直線黄色の勝負服が割って出てきた時は、横で「来るぞ来るぞ!」と叫んでいた声しか耳に入らず、祈るような気持ちで見ていたのですが、まとめてかわして先頭でゴールした時は、込み上げてくるものがあり涙が止まりませんでした。牧場のみんなも涙した瞬間でした。生産者にとって念願のオークス馬が千代田牧場から誕生したのです。

勢司師始め、厩舎スタッフの皆さんそして、馬の気持ちを考えながら上手く乗ってくれた吉田豊騎手に「ありがとう」の気持ちで一杯です。桜花賞の雪辱を大舞台でよく晴らしてくれたと思います。牧場のスタッフにとっても、日頃の努力が報われる勝利となりました。

パドックでお会いしたブルーリッジリバーのオーナー小林薫さんに向かって「今日は、プレゼンテイターですか?」などと冗談を言っていたのが、こんな結果になるなんて・・・・薫さんごめんなさい。

恥ずかしながら14年ぶりのG1制覇で、G1競走に勝つのは特別な事だということ、この14年間に牧場も成長し、お付き合いも増え、多くの方々に支えられているのだなあと改めて実感致しました。これだけの優秀な馬やスタッフを揃え、これからはもっともっと多くのG1馬を出さなくてはいけないと思っています。それが、調教師さんや馬主さんへの恩返しになるのではと思います。

先日今年の出産の無事終了とオークス優勝の祝賀会を行い、みんなで本当に美味しいお酒を飲むことが出来ました。今年は一頭の事故もなく産ませた事もスタッフの努力の賜物だと思います。本当にご苦労様でした。スマイルトゥモローのオークス優勝に甘んじることなく、これをきっかけに更に飛躍しようと皆で誓いました。(祝賀会をしたらいきなり土日4勝を決めました。)

まずは秋に備え、スマイルトゥモローを万全の体勢で厩舎にお返しできるようスタッフ一同、さらに気を引き締めて頑張ります。



プレゼンテイターの妻夫木聡さんと一緒に

笑顔の静内スタッフ一同(Gallop提供)



2002年4月11日 桜花賞観戦記
4月7日桜花賞に出走するスマイルトゥモローの応援に阪神競馬場まで行ってきました。
今年は何が勝ってもおかしくない、スターホース不在の中、黄梅賞、フラワーカップ(G3)を勝ち上がった唯一の連勝馬スマイルトゥモローは、前売り4番人気に押されました。当然、応援にも気合が入ります。

前日からトゥモローの様子が気になっていましたが、勢司師から、輸送も上手く行き、飼い葉も食べている様子、当日の朝も、万全である旨、まめに連絡を頂き、私達の心配を払拭して下さいました。
レース当日、心配した昨夜からの風雨も止み天気は一気に回復、阪神競馬場の桜も満開でした。(今年は予想以上に早い桜の開花に、造園課の方々のご苦労があったと聞いています。)桜のない桜花賞なんて・・・・ですものね。

お昼休み私達は出走馬主席なる部屋へ向かうとそこには、アローキャリーの矢野氏が家族でいらしていて、
『春休みだって気付いたので急遽みんなで応援に来ました。』と主人が言うと
『普通は気付くんじゃない?!』と言われてしまいました。確かに(笑)・・・気付いてないのはお父さんだけです。
すぐに子供連れにはちょっと落ち着かない部屋を後にし一般馬主席へ戻りましたが、あの部屋で見ていたら・・・・勝てたかも・・・・??

馬体重は、輸送を共にしたシャイニンルビーのマイナス20キロに対しスマイルトゥモローはマイナス2キロだった上に、パドックでも落ち着いていてとても良い気配でした。もしかしたら・・・・と期待が膨らみました。

さあ、いよいよスタート、ところがいきなり一間歩出遅れ、『うわっ』と思いきや今度は少し掛かり気味、直線に入ってから外に持ち出し、私達の目の前を通り過ぎるときの脚は、黄梅賞の再現かと思いましたが結果は6着でした。でもとてもよく頑張ってくれたと思います。

ここまで完璧に仕上げて下さった勢司師はじめ厩舎スタッフの方々、そして、夢を見させてくれたスマイルトゥモローに感謝の気持ちで一杯です。本当に有難うございました。
G1レースの特別な雰囲気に圧倒されながらの観戦でしたが、桜花賞という晴れの舞台を目の前で応援でき幸せな1日でした。春休みの良い思い出となりました。
また、応援して下さった皆様、本当に有難うございました。
次は是非、オークスで頑張って欲しいと思います。一生に一度のチャンスですから・・・・。


万全の体勢で臨んで下さった勢司師もやや緊張気味。
馬は落ち着いていました。

桜花賞らしい華やかな雰囲気。

いつも応援して下さっているスマイルさんの横断幕

耳がかけてしまいました。初心者なのでお許しを・・・


2002年3月26日  スマイルトゥモロー桜花賞へ  
スマイルトゥモロー号が3月16日時事通信杯フラワーカップ(GV)に於いて、見事優勝することが出来ました。
馬主、調教師は共に重賞初制覇、牧場も好調な3歳馬の重賞1番のりに大変盛り上がりました。皆様からたくさんのお祝いやメッセージを頂きまして本当に有難うございました。嬉しい事にゲストルームはたくさんのお花に包まれ(写真)一気に春が来たようです。

近況にも書いていますが、黄梅賞の後、休養の予定だったのですが、その時点で桜花賞の出走は不可能であることがわかり急遽、勢司師にお願いし、予定を変更、フラワーカップを使ってみようということになりました。勢司師によりますと、彼女(勢司師とスマイルトゥモローは怪しい関係にあるようです・・・)はとにかく、調教でも、本番でも真面目で気を抜かない娘なので、除外が続いたことでも、彼女を追い詰めてしまったとおっしゃっていました。ですから、本当は少しお休みさせてあげたかったようです。
(ずるい子は自分で力を抜くので心配ないのだそうです。人間の子も同じですね・・・)
オーナーの強い意向での出走でしたが、良い結果になったのも、そんな彼女のコンディションをキープしてくれた勢司師のお陰です。本当にありがとうございました。
本番では、是非、力を出し切ってほしいですね。

話は変わって、お産も今年はすでに半数近くが無事生まれました。寒さが厳しい1月からず〜っと気を抜けない毎日が続いております。種付もこれからがピークで、ますます忙しい時期を迎えます。忙しい毎日ではありますが、生産馬の活躍で、活気に満ちています。

この好調な成績がいつまでも続きますように・・・